絶滅危惧種「乙女」(ヤブサメ)

 現代の日本では稀有な存在となった「乙女」の一人は普段は単なる事務員です。

「乙女」は毎日、22時に寝ます。
 んで、0時に起きて、筋トレしてお風呂に入ります。
 その後、ベランダで星を2時間ほど眺めます。
 そして4時前にもう一度眠ります。
 毎日です。

 残念なことに、彼氏がいるのですが、きっと…
 きっと出会いは急いで走っていたところ、交差点でぶつかったのです。

 本日午前、「乙女」の担当取引先より電話が入りました。
 内容は発注していたクリスマス用商品が届いていないとのこと。
 確認をしてみたところ、伝票にも間違いは無く、配送担当も確かに積んで出たハズと言う。
 じゃあ配送の人が間違ってどっかやっちゃったってことじゃん。
 とか言ってても仕方がないので、今日商品を発送したお客に片っ端から電話を入れ、間違って届いていないか訊いてみる。

 が。
 当然相手も仕事中で忙しいわけで。
「無かったですよ」
 と、ホントに探したのかよ!という返答ばかり。
 結局、商品は見つかりませんでした。
「乙女」、泣きそうです。
 とはいえ、注文をもらっている以上、届けないわけにもいきません。
 今日商品を発送したお客に片っ端から電話を入れ、商品が余っていないか訊いてみる。

 が。
 当然相手も必要以上に発注しているわけではないので。
「んー、全部だしちゃいますねぇ」
 と、ホントにそんなに売れんのかよ!という返答ばかり。
 結局、ドコも商品を分けてはくれませんでした。
「乙女」、ますます泣きそうです。
 ……別に「乙女」が悪いわけじゃないと思うんですがね……

 まぁ、いろいろ手を尽くした結果、なんとか商品を取引先に届けることはできました。
 はっきり言って大変ではありましたがね。
「乙女」も安心したようです。

 しかし。
 商品はいったいドコへいってしまったんでしょう?
 そんなみんなの疑問に「乙女」が答えてくれました。

「わかりました!きっと、サンタさんがもっていっちゃったんですよ☆」

 僕らはきっと、取引先のためなんかではなく、この台詞を聞くために頑張っていたんだろうなぁ……と思いました。