退屈

目を覚ますと上半身の上のほうは、こう、左肩から斜めに感覚がなかったんですけど、胸の中心くらいに麻痺が引いていた。
どうにかなりそうなんじゃないかという期待と、そう甘くないんだろうなぁという不安と。

起き上がることもできないし、寝返りもできないのでなにもすることがない。
とにかく寝ようかと思ったんですけど、僕は左向きでちいさくなって寝るのが普通なのでそれもできない。
しょうがなくオカンの話を聞いてたんですが聞いてびっくり。
なんか奇跡的に生き残った。という感じだったらしくて。
まぁ、覚えてる範囲でも十分死にそうだったんですけど……
 
まず症状。脳の出血場所がもうちょっとずれてたらヤバかった。らしい。
先生には「もうちょっと患部が脳の後ろ側だったら口は聞けなかったかもねー。というかそのまえに助け呼べなかったかー。あはは。」
とか言われましたし。
 
救急隊がすんなり家に入れたことも言われてみれば。
救急車を呼んだは良いけどどっから入ってくるんだ?とか思ってたわけですよ。
道路に面してる窓は小さくて、ぎりぎり人が通れるくらいなもの。
しかもそこには僕の大好きなおもちゃ達が飾ってある。
おもちゃのほうが大事とは言わないですが「壊されるのかなぁ……」とへこんだのも事実。(なにを悠長な!)
ですが救急隊員の人たちは玄関から入ってきました。
「なに?ピッキング?」と思った僕はハズレでした。
救急隊員の人が着いた時、やっぱり窓を破ろうとしたらしいです。
でもちょうどそれを見ていた近所の早起きおばちゃんが、大家の家はスグ前だからそこから鍵借りろ、と言ってくれたらしいんです。
そしてメンドクサガリな僕がチェーンを掛けてなかったこと。
これがいち早く対応できた理由。
と、おもちゃが無事だった理由。
 
すぐ近くにそれなりの病院があったことも。
そんでCT撮って(頭んなかが輪切りになってるヤツ)「コレかー」ってなって。
手術できる先生探したらちょうど「あそこの病院にいるって」って見つかって。
手術前には「とりあえず死なないための手術ですので」って言われてたけどそれ以上ではあるし。
 
兄弟には「嫌味になるかもしんないけど、やっぱお前って悪運つーかなんか、そういう運があるよな……」
いや……そんなこと言われても……